はじめに(この記事で分かること)#
元交際相手が、教えていないはずの行き先を知っていた。同居人が、誰とやり取りしたかを言い当てた。こういうとき、原因はハッキングの高度な技術ではなく、たいていは「共有したまま忘れていた設定」か「相手が一度触った端末」にある。
この記事では、交際相手・元交際相手・同居人に端末や位置を見られているおそれがある人が、自分の位置共有、追跡タグ、端末とアカウントの共有、ストーカーウェアの兆候を、どの順序で、どこまで確かめるのが合理的かを整理する。順序が大事になるのは、設定を急に変えると相手に気づかれ、危険が増すことがあるからだ。だから最初と最後に、相談窓口の話を置いている。
前提: 脅威モデルの整理#
脅威モデル入門では、「誰から隠すのか」の答えを5種類の相手に分けた。ISP、プラットフォーム、広告網・データブローカー、法執行機関、そして標的型攻撃者(ストーカー・元交際相手・敵対者)だ。この記事が扱うのは最後の一つで、その中でも、生活を共にしている、または共にしていた相手に絞る。
この区別で、効く対策と効かない対策がはっきり分かれる。VPNはISPから通信先を隠し、Torは通信の経路を見えにくくする。どちらも回線の上にいる観測者を想定した道具であり、あなたのスマートフォンを手に取ってロックを解除できる人には何の効果もない。相手が端末そのものに監視アプリを入れていれば、暗号化される前の画面や入力が端末の中で読まれてしまう。逆に、この記事で扱う点検は、ISPや法執行機関に対してはほとんど意味を持たない。脅威モデルを取り違えると、手間をかけた対策が的を外す。
この相手の特徴#
法執行機関が通信記録を取り寄せるには令状などの法的手続きが要る。同居人には要らない。相手は、すでに手の届くところにいる。
この相手が持っているものを並べると、他の4者との違いが見えてくる。一つ目は物理的なアクセスで、寝ている間や入浴中に端末へ触れられる。Coalition Against Stalkerwareは、ストーカーウェアの設置には通常、端末への物理的なアクセスとロック解除が必要だと説明しているが、同居人はその両方の条件を満たしやすい。二つ目は既知の情報で、パスコード、誕生日、ペットの名前、昔使っていたパスワードの傾向、セキュリティ質問の答えになりそうな事実を知っている。三つ目は過去の共有の名残で、交際中に有効にした位置共有、家族向けの共有グループ、同じ携帯電話の契約、同じパソコンのブラウザが、関係が変わった後も残っている。
能力の面では、この相手は国家に遠く及ばない。ただ、関心があなた一人に集中しており、OSINTの記事で扱う公開情報の突き合わせに、本人しか知らないはずの情報を足せる。技術的な対策の優先順位は、回線の暗号化よりも、端末のロック、アカウントへのログイン状況、位置共有の設定のほうが上に来る。
日本の法律も、この種の監視を想定した規定を持っている。e-Govに掲載されているストーカー規制法(2026年5月21日施行時点の版)の第2条第3項は「位置情報無承諾取得等」を定義し、承諾を得ずに位置情報記録・送信装置の位置情報を取得することや、紛失防止タグのような「位置特定用識別情報送信装置」の位置情報を取得すること、それらを所持品に取り付けることを挙げている。警察庁の改正案内によると、紛失防止タグを使った位置情報の無承諾取得等を規制対象に加える改正は2025年12月30日に施行され、同じ改正で、被害者の申出がなくても警察が職権で警告できる仕組みが設けられた。配偶者暴力防止法の第10条第2項にも、接近禁止命令に併せて裁判所が禁じられる行為として、同様の位置情報の取得と装置の取り付けが列挙されている。法律の要件に当たるかどうかは個別の事情で決まるので、自分の状況が該当するかは後述の窓口で相談してほしい。
位置共有と追跡タグ#
位置が漏れる経路は、大きく二つに分かれる。自分の端末やアカウントの共有設定が生きている場合と、持ち物に追跡タグが入っている場合だ。端末やアプリが位置をどこに記録しているかという一般的な話は、スマホの位置情報の記事で扱う。
この節から先で紹介する確認と変更は、どれも相手に気づかれる可能性がある。NNEDVのSafety Net Projectは、ストーカーウェアを探したり削除しようとしたりする前に、まず自分の安全を考えるよう書いている。設定の画面を開く前に、相手に気づかれても安全な状況かどうかを考え、判断に迷うなら、相手が触れたことのない端末から支援者に相談してから進めてほしい。どの順序で進めるかは「安全第一で進める」の節で扱う。
iPhoneでは、iOS 16以降に「個人情報安全性チェック」という機能がある。英語版の名称はSafety Checkで、Appleの日本語ガイドでは「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「個人情報安全性チェック」の順に開く。中には二つの選択肢があり、「緊急リセット」はすべての人とアプリとの共有をまとめて止め、「共有とアクセスを管理」は相手やアプリごとに確認しながら個別に変える。画面には「今すぐ中止」というボタンがあり、タップすると設定アプリが閉じてホーム画面に戻る。それまでに加えた変更は保存される。途中で相手が部屋に入ってきたときのための機能だろう。Appleのガイドは同じページで「あなたの安全のために計画を立ててください」と書き、この機能が扱えないものとして、Apple以外のアカウントとパスワード、ソーシャルメディアでの共有、別のApple Accountにサインインしているデバイスなどを挙げている。
相手に気づかれても安全だと判断できた後で、「探す」アプリでの位置共有を一人だけ止めるなら、「人を探す」から相手を選び、その他ボタンをタップして、画面下部の「自分の位置情報の共有を停止」を選ぶ。Appleのチェックリストは、共有を止めても相手に通知は送信されないが、相手の友達リストにあなたが表示されなくなる、と書いている。共有を再開した場合は、相手に通知が届く。通知が来ないことと、気づかれないことは別だ。相手が日常的にあなたの位置を見ていたなら、表示が消えたこと自体が変化として伝わる、と考えておいたほうがよい(これは公式資料の記述からの推測である)。ファミリー共有のグループに入っている場合も、位置を見せ合う設定はこのリストに出てくる。
Androidや他のOSでGoogleマップの現在地の共有を使っている場合も、止めるのは相手に気づかれても安全な状況か、支援者と相談してからにしたい。手順としては、Googleのヘルプが、myaccount.google.comの「情報共有と連絡先」から「現在地の共有」を開き、「現在地の共有を管理」で相手ごとに「停止」する手順を示している。このヘルプには、停止したときに相手へ通知が届くかどうかの記載は見当たらなかった。
日本で身近なLINEについては、公式の使い方ガイドで確認できた位置の機能は、地図上で選んだ地点をトークに一回送信するものだった。ヘルプセンターにある「位置情報の取得を許可」という設定は、災害情報などのためにLINE側が位置を取得するかどうかを決めるもので、友だちへの共有とは別物だ。友だちと位置を継続的に共有する機能について、今回の確認では公式の説明を見つけられなかったので、ここでは扱わない。
追跡タグについては、AppleとGoogleの両方が、知らないタグが一緒に移動していると知らせる仕組みを持っている。iPhoneでは、iOS 14.5以降で「あなたと一緒に移動しているAirTagが見つかりました」といった通知が出る。Apple以外の対応タグを検出するには、iOS 17.5以降が要る。通知から「サウンドを再生」を選べば音で探せる。Androidでは、Android 6以降の端末で「不明なトラッカーのアラート」が使える。設定の「安全性と緊急情報」から開き、「スキャン開始」で手動の検索ができ、Googleのヘルプによれば約10秒かかる。対象はFind Hubネットワーク対応のタグ、ヘッドフォン、そしてAppleのAirTagだ。
見つけたタグをどうするかは、慎重に考えたほうがよい。Appleのページには「無効にする手順」があり、その手順を実行すると持ち主には位置の更新が届かなくなると説明されている。Googleのヘルプも、身の危険を感じる場合は公共の安全な場所に移動し、警察か信頼できる人に連絡するよう書いている。位置の更新が急に止まれば、相手はタグが見つかったと考えるかもしれない。そしてタグそのものが、前述の法律上の「取り付け」を示す物証になりうる。無効化や処分の前に、写真を撮り、見つけた日時と場所を記録し、相談窓口や警察に扱いを相談するのが、安全と証拠の両方を守る順序になる。
端末とアカウントの共有#
位置共有の設定を全部止めても、相手がロックを解除できる端末や、ログインできるアカウントが残っていれば、別の経路から同じ情報が見える。
ここからの確認と変更も、相手に気づかれても安全な状況か、相手が触れていない端末から支援者に相談してから行う。パスコードが急に変われば、相手はロックを解除できなくなった時点で変化に気づく。そのうえで、最初の確認は、端末のパスコードだ。相手が一度でも見たことがあるなら、知られていると考えたほうがよい。AppleのPersonal Safety User Guideのチェックリストは、iPhoneとiPadのパスコードとMacのログインパスワードを変えること、想定外のFace IDやTouch IDの指紋が登録されていないか確かめることを最初に挙げている。続いて、「設定」>[自分の名前]>「デバイス」からApple Accountにサインインしている端末を見直し、2ファクタ認証の信頼できるデバイスに見覚えのないものがないか、見覚えのないアプリや、インストールした記憶のないアプリがないかを確かめる。さらに、iPhoneミラーリングの設定と、見覚えのない「モバイルデバイス管理(MDM)」の構成プロファイルの有無もこのチェックリストに入っている。MDMは本来、勤務先や学校が端末を管理するための仕組みで、私的な関係の相手が入れたものなら警戒すべきだ。
Googleアカウントでは、myaccount.google.comの「セキュリティとログイン」にある「お使いのデバイス」で「すべてのデバイスを管理」を開くと、現在ログインしている端末と、過去数週間にログインした端末が並ぶ。知らない端末があれば、選んで「ログアウト」させることができる。ただしログアウトさせると、その端末の側ではアカウントが使えなくなるので、相手に変化が伝わる可能性がある(これは仕組みからの推測である)。実行するのは、相手に気づかれても安全な状況か、支援者と相談した後にしたい。
家族向けの契約も橋になる。Appleのガイドは、携帯電話の料金プランを共有している場合、プランの他のメンバーがあなたの位置、通話やメッセージの記録、請求の詳細にアクセスできる可能性があると書いている。自分だけの契約でも、相手が携帯会社のオンラインアカウントにログインできるなら同じことが起きる、とも書いている。名義が相手のままの回線を使い続けている人は少なくない。
パソコンの共有も見落とされやすい。同じパソコンの同じブラウザを使っていれば、閲覧履歴、保存されたパスワード、ログイン状態のままのメールやSNSが、ブラウザを開くだけで相手に見える。プロファイルを分けても、パソコンの管理者権限を相手が持っていれば、その中身を読まれる可能性は残る(一般的な仕組みからの推測で、特定の公式資料の記述ではない)。家族のパソコンを使う場合は、支援機関への連絡やアカウントの変更を、そのパソコンでは行わないという線引きが現実的だ。
アカウントの「復旧経路」も、同じ構造の問題を抱えている。パスワードを変えても、再設定用のメールアドレスや電話番号が相手の管理下にあれば、相手は「パスワードを忘れた」から入り直せる。交際中に相手の電話番号を予備に登録した、共用のメールアドレスを再設定先にした、という例は珍しくない。この構造はアカウント復旧経路の記事で詳しく扱う。点検するときは、どのアカウントの復旧先がどこにつながっているかを、カンパートメント化のワークシートの一列として書き出すと漏れが減る。
ストーカーウェアの兆候#
Coalition Against Stalkerwareは、ストーカーウェアを、別の人が、多くの場合パートナーや家族が、ある人のスマートフォンの活動をひそかに監視・記録できるようにする道具(ソフトウェア、アプリ、デバイス)と定義している。高度な技術は要らず、簡単に購入して設置できるという。同時に、オンラインの活動がひそかに追跡されているとしても、ストーカーウェアが関わっていない場合もあると注意している。ここまで見てきた位置共有やアカウントの共有だけで、同じことが起きうるからだ。
兆候としてCoalitionが挙げるのは、バッテリーの急な消耗、データ通信量の急増、週ごとのスクリーンタイムの説明のつかない増加、見慣れない通知だ。NNEDVのSafety Net Projectも、バッテリーの急な消耗、端末の電源が勝手に切れたり入ったりすること、データ通信量の急増を挙げる。ただしCoalitionは、こうした挙動は兆候になりうるが必ずしもそうではなく、何の副作用も出さないストーカーウェアもあると書く。そのうえで、最もよくある兆候は相手の言動の変化だとしている。他に説明のつかないほど、あなたのスマートフォンでの行動を知っている、という形で現れる。
安全を考えるのは、削除の段階からでは遅い。NNEDVのSafety Net Projectは「Before looking for or trying to remove stalkerware, think about your safety.」と書き、監視が疑われる端末での操作は相手に見えることがあるとして、友人の端末や図書館のパソコンなど監視されていない端末を使うよう勧めている。以下の確認も、探し始める前から、相手に気づかれても安全な状況か、相手が触れていない端末から支援者に相談したうえで行ってほしい。
確認の方法として、Coalitionは三つを示している。一つは、ウイルス対策製品でのスキャンだ。Coalitionの加盟企業の多くは無料のアプリを出しており、良いウイルス対策製品ならストーカーウェアをおおむね検出できるはずだとしている。二つ目は、iPhoneのiCloudバックアップの確認だ。iPhoneやiPadのストーカーウェアの中には、iCloudに保存されたバックアップからデータを取るものがある。自分で有効にした覚えがないのに「iCloudバックアップ」がオンになっていれば、誰かが悪意を持って設定した可能性がある。三つ目は、Android端末で隠されたアプリや公式ストア以外から入れられたアプリを探すことで、Coalitionはコーネル大学のClinic to End Tech Abuse(CETA)がまとめた英語のPDFガイドを案内している。
Coalitionは、確認の次の段階、つまり削除の前にも改めて立ち止まるよう求めている。安全への配慮は探し始める前から始まり、削除の前でもう一度必要になる。その中身が次の節の話になる。
安全第一で進める#
Coalitionは、ストーカーウェアを削除する前に知っておくべき四つの注意点を挙げている。その中身を順に追うと、まず、ストーカーウェアの削除や大きな設定変更は相手に気づかれる可能性があり、虐待や嫌がらせが増すおそれがあるので、安全だと思える場合にだけ削除を試みること。次に、安全計画(セーフティプラン)を、より安全な端末を使い、信頼できる支援機関の助けを借りて立てること。さらに、ストーカーウェアを削除すれば、それに関する証拠も消えること。最後に、削除しても再び入れられる可能性があることだ。NNEDVのSafety Net Projectも、ストーカーウェアが削除されると虐待をエスカレートさせる人がいる、と書いている。
この記事の手順を「全部やる」ことが正解とは限らないのは、この理由による。位置共有を一斉に止める、パスコードを変える、見覚えのないアプリを消す。どれも技術的には正しいが、相手から見れば「気づかれた」という合図になる。Appleが個人情報安全性チェックに「今すぐ中止」を置き、「計画を立ててください」と添えているのも、同じ前提に立っているのだろう(これは機能の設計からの推測である)。
だから順序としては、相手が触れたことのない端末から相談窓口に連絡し、避難や別居の計画と、どの設定をいつ変えるかを一緒に決めるのが合理的だ。職場のパソコン、信頼できる友人の端末、新しく用意した端末などがその候補になる。
証拠は、変更を加える前に残す。Coalitionは、経験したことの記録をつけておくと、パターンを見つけたり、警察や支援機関に相談するときに経緯を示したりするのに役立つと書いている。NNEDVも、経験していることをメモに残せると書く。Appleのガイドは、嫌がらせや不審な活動があればスクリーンショットや画面収録で残す方法を案内しており、見覚えのないサインインの通知を閉じる前にスクリーンショットを撮るよう勧めている。ただし、スクリーンショットは初期設定で写真アプリに保存される。写真が相手と共有されたアルバムやiCloudに同期されている場合、証拠を撮ったこと自体が相手に見える可能性がある。記録の保存先も、支援機関と相談して決めたい。
日本の公的な相談窓口は次のとおりだ。電話番号と受付時間は、2026年11月8日に各機関の公式ページで確認した。
| 窓口 | 連絡先 | 受付時間 | 公式ページでの説明 |
|---|---|---|---|
| 警察(緊急時) | 110 | — | 身の危険が迫っている場合。#9110は緊急でない相談のための番号 |
| 警察相談専用電話 | #9110 | 平日8:30〜17:15(各都道府県警察で異なる)。土日・祝日と時間外は、24時間受付の一部の都道府県警察を除き、当直か音声案内での対応 | 緊急の対応を必要としない警察への相談全般(警察庁 犯罪被害者白書 相談先一覧、令和7年4月現在) |
| DV相談+(プラス) | 0120-279-889(通話料無料)、チャットはsoudanplus.jp | 電話は24時間、チャットは12:00〜22:00 | 内閣府の窓口。チャットは英語や中国語など10言語に対応 |
| DV相談ナビ | #8008 | 各相談機関の受付時間内 | かけると近くの都道府県の配偶者暴力相談支援センターにつながる。一部の固定電話、携帯通信会社、IP電話からはつながらない場合がある |
| 配偶者暴力相談支援センター | 各センターの番号(内閣府男女共同参画局の一覧PDF) | 施設ごとに異なる | #8008がつながらない場合は直接かける |
ストーカー被害は、内容が緊急でなければ#9110で相談できる。警察庁の相談先一覧は#9110の対象を「緊急の対応を必要としない警察への相談全般」としており、追跡タグを見つけた、元交際相手が居場所を知っている、といった段階で使える窓口だ。前述のとおり、改正後のストーカー規制法では、警察が職権で警告できる。
限界と残るリスク#
この記事の点検には、構造的な限界がある。
一つ目は、検出の限界だ。Coalitionが書くとおり、副作用を出さないストーカーウェアがあり、ウイルス対策製品の検出も「おおむね」でしかない。スキャンで何も見つからないことは、監視がないことの証明にならない。Coalitionが最も確実な方法として挙げるのは新しい端末を用意することで、次が初期化だが、初期化すれば証拠も消え、相手が再び端末に触れられる環境なら入れ直される。
二つ目は、範囲の限界だ。Appleの個人情報安全性チェックは、Apple以外のアカウント、ソーシャルメディアでの共有、別のApple Accountにサインインしているデバイスを扱えない。共通の知人、共有の写真アルバム、子どもの端末、車に付いた機器など、自分の端末の外にある経路は、どの設定画面にも出てこない。追跡タグの通知も、対応していない機器や、通知の条件に当てはまらない使われ方までは拾えない。
三つ目は、そして最も大きいのが、技術的に正しい対策が身の安全と衝突しうることだ。設定を変えれば相手に気づかれる。変えなければ監視が続く。この二つのどちらを選ぶかは、相手の過去の行動や、避難先があるかどうかといった、技術の外の事情で決まる。この記事はその判断を代わりにできないし、どの対策を組み合わせても「完全に追跡されない状態」は約束できない。判断を一人で抱えないために、相談窓口がある。
まとめ#
今日できることを、立場ごとに一つずつに絞る。
まだ同居していて、相手に端末を触られる可能性がある人は、設定を何も変えずに、相手が触れていない端末からDV相談+(0120-279-889、24時間)か#8008に連絡し、どの設定をいつ変えるかを支援者と決めるのが合理的だ。気づいたことは、日時を付けて記録しておく。
すでに別居していて、元交際相手が居場所や行動を知っているように見える人は、iPhoneなら「個人情報安全性チェック」の「共有とアクセスを管理」で誰と何を共有しているかを見るところから始めるとよい。Androidなら「不明なトラッカーのアラート」で「スキャン開始」を一度試す。見つかったものを止めたり捨てたりする前に、写真と記録を残して#9110に相談する。
まだ被害はないが、関係が悪化しつつあると感じている人は、パスコードを変え、Apple AccountとGoogleアカウントにログインしている端末の一覧を確かめ、再設定用のメールと電話番号が自分だけのものかをアカウント復旧経路の記事に沿って点検しておくとよい。共有の料金プランや家族向けの共有グループを抜ける時期は、関係が落ち着いているうちに考えておいたほうが選択肢が広い。
出典#
- Coalition Against Stalkerware — Information for survivors(2026-10-16更新、2026-11-08参照)
- NNEDV Safety Net Project — Spyware and Stalkerware: Phone Surveillance(2026-11-08参照)
- Apple — 個人情報保護ユーザガイド(Personal Safety User Guide)(2026-11-08参照)
- Apple — iOS 16以降のiPhoneの個人情報安全性チェック(2026-11-08参照)
- Apple — Checklist 1: Limit device and account access(2026-11-08参照)
- Apple — Checklist 2: Manage location information(2026-11-08参照)
- Apple — Additional safety steps(2026-11-08参照)
- Apple — Document suspicious or harmful activity(2026-11-08参照)
- Apple — 不要な追跡に関する通知が届いた場合の対処法(2026-11-08参照)
- Google — 不明なトラッカーを検出する(Androidヘルプ、2026-11-08参照)
- Google — 現在地の共有(Googleマップ ヘルプ、2026-11-08参照)
- Google — アカウントにアクセスしたデバイスを確認する(2026-11-08参照)
- LINEみんなの使い方ガイド — 位置情報を送信する(2026-11-08参照)
- e-Gov法令検索 — ストーカー行為等の規制等に関する法律(2026-05-21施行時点、2026-11-08参照)
- e-Gov法令検索 — 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(2026-06-24施行時点、2026-11-08参照)
- 警察庁 — ストーカー規制法が改正されました!(2026-11-08参照)
- 警察庁 — 令和7年版犯罪被害者白書 資料9相談先一覧(令和7年4月現在、2026-11-08参照)
- 内閣府 — DV相談+(プラス)(2026-11-08参照)
- 内閣府男女共同参画局 — DV相談ナビ #8008(2026-11-08参照)
- 内閣府男女共同参画局 — 配偶者暴力相談支援センター(2026-11-08参照)